副業の所得を事業所得にするにはどうすればいい?その節税メリットと手順を解説
1.まず押さえておきたい所得の10分類
所得、という言葉はよく聞きますよね?副業に関して調べていると事業所得、雑所得という言葉も耳にしたことがあるかもしれません。本題に入る前に、まず所得の分類に関する概観を掴んでおきましょう。
| # | 種類 | 内容 | 副業との関連 |
|---|---|---|---|
| 1 | 利子所得 | 預貯金・債券の利息 | — |
| 2 | 配当所得 | 株の配当金 | — |
| 3 | 不動産所得 | 家賃・地代収入 | 不動産経営の副業 |
| 4 | 事業所得 | 個人で継続的に行う事業 | ⭐ 副業の理想形 |
| 5 | 給与所得 | 会社からの給与・賞与 | 本業 |
| 6 | 退職所得 | 退職金 | — |
| 7 | 山林所得 | 山林の売却益 | — |
| 8 | 譲渡所得 | 土地・株・車などの売却益 | — |
| 9 | 一時所得 | 懸賞・保険の満期金など | — |
| 10 | 雑所得 | 上記9つに当てはまらないもの | ⚠️ 副業の多くが最初ここ |
副業をする上では、副業の所得を上の表の4番目「事業所得」にすることで大きな節税メリットがあります。事業所得として認めてもらえない場合は、表の1番下の「雑所得」となってしまい、メリットを受けることができません。では、事業所得で得られる節税メリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
2. 事業所得にすると使える節税メリット4つ
次に、副業の所得を事業所得にするとどのような節税メリットがあるのでしょうか?大きく4つにわけて説明します。
①青色申告特別控除(最大65万円)
事業所得にして得られる最も大きなメリットは、この「青色申告特別控除」でしょう。「控除」というのは、「所得のうち無条件で非課税になる額」だと思ってください。つまり、税率が20%だとすると13万円(65万×20%)分は非課税にしてあげるよ、ということです。「青色申告」というのは、確定申告の種類のことで、他に「白色申告」というものがあります。白色申告にすると手続きは簡単なのですが、「青色申告特別控除」のメリットは受けられなくなります。
②損益通算(副業の赤字を給与と相殺)
損益通算とは、ざっくりいうとある所得と別の所得の儲けと損を合わせて合計の儲けを計算しますよ、という制度です。なんのこっちゃ?って感じですよね。。。具体例を使ってメリットを説明します。例えば、副業を開始した年に経費がたくさんかかって10万円の赤字だったとします。本業の給与所得の10万円分で赤字を補填させてくれます。そうすると何がいいのか?なんと給与所得の10万円分が非課税になり、確定申告後に給与所得にかけられた分の税金が戻ってきます。所得税率が20%だとすると2万円(10万×20%)が戻ってきます。副業が軌道に乗るまでは事業が赤字になることもあると思いますが、副業を雑所得ではなく事業所得にしていると赤字の影響を少なくすることができます。
「これってもしかして副業で儲けを出さずにわざと赤字にすれば節税になるんじゃね?」と思った方もいるかもしれません。赤字が続くとそもそも事業所得として認められない可能性が高く、税務調査で悪質とみなされた場合は、追徴課税される(普通よりもたくさん税金を取られる)ため、全くお勧めしません。まっとうに事業に取り組みましょう。
③赤字繰越
また、副業で得た所得を雑所得ではなく事業所得にできた場合は、最大3年間赤字を翌年以降に繰り越せます。先ほど話した損益通算では副業の赤字を別の所得の黒字と相殺して節税するために利用しましたが、赤字繰越では副業の赤字を翌年以降の副業の黒字と相殺して節税するために利用できます。また、赤字繰越をする場合には、確定申告を青色申告で提出する必要があるので、その点も注意してください。
④青色事業専従者給与
青色事業専従者給与とは、ざっくりいうと副業(個人事業)を手伝ってくれる家族への給料を全額経費にできますよ、という制度です。「経費ってよく聞くけど、経費になると何が嬉しいの?」と思いますよね?少し話はそれますが税金がかかる所得(課税所得)は以下の二段階の式で決まります。
所得 = 収入 ー 経費
税金がかかる所得(課税所得) = 所得 ー 控除
例えば、妻(夫)に年間合計100万の給料を払っているとすると家計に残るお金は減ってないのに税金は減る、ということが起こります。妻(夫)が他に仕事をしていない場合は、概ね100万円程度までなら税金なしでまるっと手元に残すことができます。
ただし、青色事業専従者給与を利用すると配偶者控除が利用できなくなります。どちらを利用するほうが得になるか?はそれぞれのパターン別にいくら節税できるか?を計算する必要があります。
3. 副業を事業所得に認めてもらうための5つの条件
では、これまで書いたような節税メリットを受けるために副業の所得を事業所得と認めてもらうためには、どのような条件を満たせばよいのでしょうか?
実は、国税庁の通達内でも所得が「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、 社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する」というなんともふわっとした表現で記載されています。一応、社会通念上事業と呼べるか?の目安となる条件が5つほど準備されています。それらの条件を私の副業(ITエンジニア)の実例を交えながら解説します。
条件①:企画遂行性があること
文字通り仕事を自分自身で企画し、遂行しているということです。要は、人の仕事の手伝いをしているだけじゃない、ということです。
私の場合は、自分の本業の職能(ITエンジニア)を活かして、月収10万円を達成するにはどうすればいいか?を考えました。そうするためには、時給2000円の仕事を月50時間(1日2.5時間)すればよい。次に、そういう業務委託の仕事を調査→獲得→継続するにはどうすればいいか?を考えました。この流れこそまさに、月収10万円の事業を企画し、企画を遂行していることにほかなりません。
条件②:営利目的で行っていること
仕事の対価としてお金を受け取ることを目的としている、ということです。
ここはわかりやすいですね。私はお金という対価を得るためにITエンジニアとして働いています。
条件③:継続・反復して行っていること
長期間にわたってその仕事を行っている、ということです。ざっくりいうと、去年の5月と12月にメルカリで不用品を売った程度では事業として認められませんよ、ということです。
私の場合は、月50~60時間ほどのITエンジニアとしての仕事を毎月反復し、数ヶ月間継続しています。
条件④:帳簿書類を記帳、保存していること
帳簿をつけてそれを保存している、ということです。
私の場合は、マネーフォワードクラウド確定申告というサブスクを契約し毎月帳簿を作成しています。帳簿作成用のソフトウェアに関しては、別に記事を作成しようと思っています。
補足:なるべく年間の売上が300万以上 or 本業の10%以上の年間売上を目指すこと
これは条件ではないのですが、国税庁は売上300万円未満かつ本業の収入の10%未満である場合は、その所得は雑所得と判断するかもしれない、というざっくりとしたラインを設定しています。必ずそうなるわけではない、というなんとも曖昧なものです。
ハードル高くない?と思った方もいるかもしれませんが、このボーダーラインを実現するために、①~④にいかに真面目に取り組んでいるか?ということが大切になると思います。なぜなら、一般的に開業直後(初年度など)は売上が少ないことが多いためです。あくまで私の解釈ですが、この条件はサラリーマンなどが節税目的で赤字事業をダラダラ続けたりして、税収が減るのを防ぐためにあるのだと思います。
私は幸い年間の売上が本業の10%を超えているのでこの条件はクリアしていますし、仮にクリアしていなくても①~④のことを真面目にやってるよ、というのを税務署の方に説明すると思います。
4. 実際にやった手順:事業所得にするためのステップ
Step1|開業届を提出する
まずは、開業届を出して個人事業主になりましょう。え、、、どう書くの?大変じゃない?と思うかもしれませんが全くの素人だった私でも10分程度で完了しました。もしかすると迷う方もいるかもしれないので、開業届の出し方は別途記事にしようと思います。
ちなみに私はマネーフォワードクラウド開業届を利用しました。なお、利用は無料です。
なお、副業が本業の会社にバレないようにするための対策については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
Step2|青色申告承認申請書を提出する
次に、青色申告承認申請書を提出しましょう。期限は以下の2パターンです。
①新たに事業を開始した場合
期限は、開業日から2か月以内。
②既に事業を開始している場合
期限は、青色申告を適用したい年の3月15日まで。例えば、2026年分の確定申告を青色申告にしたい場合は、2026年3月15日までに申請する必要があります。①のパターンに該当する場合は、3月15日は気にしなくて問題ありません。
なお、マネーフォワードクラウド開業届を利用すると開業届と一緒に提出できます。これから事業を開始する人は開業届と一緒に青色申告承認申請書も提出してしまいましょう。
Step3|売上が300万 or 本業の年収の10%になるよう売上を伸ばす努力をする
税務調査が入ったときに副業の所得が事業所得であると胸を張って言えるように、売上を300万超え or 本業の年収の10%超えできるよう努力しましょう。私の場合は、既に本業の年収の10%を超えていますが本業の年収が上がることも見越して、自分が求められている成果のプラスアルファで出した成果を書き留めてプレゼンできるようにしています。私の副業は時給制なのですが契約更新のタイミングで時給アップの交渉を行うつもりです。
Step4|帳簿をつける
帳簿(今月の売上はいくら、何にいくら経費としてつかったかなど)はこまめにきちんとつけましょう。私は月次で前月分をつけるようにしています。
クラウド会計ソフトを使うと銀行やクレジットカードと連携させておけば、報酬の入金を売上として連携できたり、クレジットカードの明細を経費として登録できたりと楽です。私はマネーフォワードクラウド確定申告を利用しています。
まとめ
所得を事業所得にするのは初心者にとってはハードルが高いように見えるかもしれません。やってみると意外とできる、かつ、その節税メリットは、努力に見合う以上のものです。副業を開始したらまずは開業届を出すことから始めてみましょう。
